辺野古の埋め立てを許さないために 2016.5.30
辺野古の新基地建設には、美しく多様性の高い辺野古の沖と大浦湾を埋め立てる必要がある。埋め立てには、2100万㎥という多量の土砂が必要である。この埋め立て用土砂は、キャンプシュワブの敷地の一部を堀り採っても使うことになっているが、それだけでは全然足りない。足りない土砂は沖縄県内や県外の採石業者から購入する予定だ。なぜなら、沖縄防衛局が自ら土砂を採取して埋め立てると、その環境への影響が問われ、環境アセスメント調査をやり直す必要が出てくるからである。防衛局はそれを嫌って、土砂を購入することにした。購入先は、沖縄県内の2箇所の採石場から約600万㎥と海砂採取業者から、58㎥を予定している。しかし、これでも埋め立て用にはまったく足りない。そこで、辺野古の埋め立てを完成させるためには、沖縄県外の岩ズリと山土を約1400万㎥購入せざるを得ない。
土砂の県外調達先には、瀬戸内海の小豆島(香川県)、向島・黒髪島(山口県)、北九州市(福岡県)、五島列島椛島(長崎県)、天草五所の浦(熊本県)、大隅半島佐多岬・奄美大島・徳之島(鹿児島県)の各地が予定されている。これらの土砂搬出地では、これまでも多くの地域で採石による環境破壊が問題になっており、地域の人々が少人数で取り組んできた。近年公共事業が減少して採石場は縮小気味であったが、最近の自公政権の国土強靱化政策により息を吹き返しつつある。さらに辺野古への岩ズリ需要で、採石業者にとっては、濡れ手に粟の話しであろう。なぜなら岩ズリとは採石(石や砕石)に伴って出てくる屑土砂を言う。岩ズリはこれまで産廃として処理せざるを得ないものであったが、辺野古に送ると巨額な収入になる。そこで採石場は拡大されて、さらに大規模に故郷の山が削られ、自然が破壊される。小豆島では国立公園の中で大規模な採石事業が進んでいる。奄美大島と沖縄島では、世界自然遺産に取り組んでいる中で、大規模な採石事業が拡大されようとしている。天然記念物のアマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ヤンバルクイナなどが棲む山を削り、ジュゴンの棲む海を埋めるという信じられない行為が政府の手によって行われようとしている。
故郷の土砂を辺野古に搬出させない運動が、奄美大島昨年5月に始まった。奄美大島における採石場や海砂採取の環境破壊に関するシンポジウムに伴い、各地の運動を担ってきた人々が集まって、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会を結成した。同協議会は、1年後の現在、全国18団体が参加する団体として、沖縄の地元で活動している人々とも繋がり、沖縄交流会も実施した。結成直後にわずか3ヶ月で54千筆の署名を集め、安倍首相あてに辺野古へ土砂を運ばないよう要求した。現在も引き続いて署名を集めている。
その後、各地で辺野古へ土砂を送らせない連絡会ができ、多くの団体が参加した上、当協議会にも結集している。闘いの輪は広がり続けている。また、三重県では、JEFエンジニアリングという会社が、辺野古埋め立て用のケーソン(巨大なコンクリートの箱)を建造し、辺野古へ曳航することが予定されており、三重県では「辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会」も発足し、当協議会に参加した。署名運動にも取り組んでいる。
西日本の搬出地から辺野古へ土砂を送らないよう、業者や業者を監督する県知事に要請を強めていく行動が今後求められる。また、ケーソンを作らせないこと、辺野古工事請負業者である大成建設に生コンを供給しない運動や土砂を運搬する船を動かさない運動や、沖縄県の土砂搬入規制条例を使って外来生物の混入を徹底的に厳守させる運動など、辺野古の埋め立てを止める可能性は広がっている。人々がそれぞれの立場からの運動を繋げて、なんとしても辺野古の埋め立てを阻止しよう。辺野古・大浦湾をジュゴンの保護区に設定し、あの美しい自然を守ろう。