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「宜野湾市長選挙が意味するもの」
一月二十四日に投開票が行われた宜野湾市長選挙は、現職の佐喜真淳氏が新人の志村恵一郎氏を破り当選した。佐喜真氏は安倍晋三政権が全面的に後押ししていた。
選挙結果を受けて政府や自民党関係者は、沖縄県民が辺野古新基地建設に理解を示した、新基地容認が一番新しい県民世論だ、という宣伝を始めている。
京都をはじめ他府県の人たちの中には、こういう宣伝を真に受ける人がいるかもしれない。しかし、それは事実に反することだ。
今回の宜野湾市長選挙で、佐喜真氏は辺野古新基地建設に関して、自らの態度や意見を明らかにしなかった。普天間基地の固定化は許さない、危険性の除去を進める、ということを強調するだけで、辺野古の問題に関しては、争点化を回避した。
言うまでもなくそれは、辺野古新基地建設に賛成という立場を表明すれば、宜野湾市民の反発が噴き出すことを知っていたからだ。普天間基地の「県内移設」を公約に掲げては選挙に勝てない、というのは政府も承知のことだった。
また、多数の自民党国会議員が応援のため沖縄に入ったが、表には出ないで業界票を固めることに専念していた。辺野古新基地建設を強行している政府・自民党中央とのつながりが目立たないように気を遣っていたのだ。
投票所に足を運んだ宜野湾市民へのアンケートでは、辺野古新基地建設に反対が多数を占めている。それが投票行動に結びつかないように、佐喜真氏陣営は細心の注意をはらっていた。政府・自民党の宣伝は、この事実を隠して「沖縄の変化」を印象付けようとする作為に満ちたものだ。
私は名護市に住んでいるが、名護市民も宜野湾市民も、選挙のたびに普天間基地問題で不快な踏み絵を踏まされてきた。日本政府が自らに都合の悪い結果は無視し、都合のいい結果は利用することもよく知っている。
ただ、それは政府だけだろうか。安倍政権を支えている日本人=ヤマトゥンチュ―の中にも、そういう意識の人はいて、選挙結果を都合よく解釈し、沖縄県民は基地を受け入れてくれた、と思っている人がいるのではないか。あるいは、日本全体の利益のために沖縄県民には我慢してほしいという人が。
そういう意識こそが、沖縄差別を生み出していることを自覚してほしい。沖縄に米軍基地が集中していること。それは大多数の日本人が選択した結果であり、偶然の産物ではない。沖縄県民はそのことに我慢ができないのだ。沖縄を犠牲にした安全保障は、もう成り立たない。 目取真俊