☆コラム 辺野古ブルー 片岡希望
今、僕は米軍の新基地建設がされようとしている沖縄県の辺野古という場所でカヌーに乗って阻止行動に参加しています。辺野古の海の上には僕たち市民や防衛省の管轄の沖縄防衛局の職員、そこに雇われた漁師や警備会社の方たち、そして海上保安庁の職員がいます。
沖縄県は昨年、選挙がいくつもありました。その度に辺野古の基地建設反対派の候補者が当選しています。それなのに、新基地建設は止まりません。沖縄防衛 局は県外の民間建設会社に作業を委託し、工事をさせています。そこに僕たちは抗議をするためにカヌーや船で近くに行こうとします。しかし、政府はそれをさ せないために法律で僕たちを縛り付け、海上保安庁の職員たちを警備にあたらせて僕たちを弾圧してきます。
その現場というのは映画やドラマの中の海上保安庁とは全然違います。普段は会話ができるような人でも、仕事のスイッチが入ると映画のような人間味は感じ られなくなります。訓練された通りに僕たちを文字通り抑えつけてきます。そのようすが顕著に表れたのが4月28日のことでした。
4月28日という日は沖縄にとっては大事な日です。63年前に公布されたサンフランシスコ条約によって本土の主権回復のために沖縄などの「外地」が切り離された日です。この日を「屈辱の日」と呼ぶ人もいます。
今年の4月28日、僕たちの抗議船に乗り込んできた海上保安官によって僕たちの抗議船が転覆させられました。その時僕はその船に乗っていました。転覆そ れ自体よりもその後の保安官の対応に僕は恐怖を感じました。水中であごを押さえられ、何度も沈められそうになりながら恫喝され、僕一人に対し保安官数名で 威圧的に事情聴取をされました。権力が僕たちの運動を本気で潰そうとしていることを僕は身をもって感じました。
僕は「海猿」という作品を否定はしません。それも彼らの一面であると思っているからです。しかし、今回僕が受けた「暴力」も彼らの一面であると思いま す。「仕事」として辺野古にいる彼ら、彼女らと、いかにして「人間」として対話をしていくか、日々模索しながらこれからも辺野古の行動に加わっていきたい と思います。