11月29日に辺野古や高江で新たな米軍基地とヘリパッドの建設に反対している市民が一挙に5人逮捕された。一人は高江のヘリパッド建設工事を進めている建設業者の車に抗議行動を行っている際に、警察官の指示に従わなかったということで現行犯逮捕だった。その市民は翌日には解放された。
ほかの4人は、今年1月末にキャンプ・シュワーブのゲート前にブロックを積み、車両の通行を阻止したということで、威力業務妨害の容疑で令状逮捕されており、長期勾留も予想される。
4人のうちの1人は、辺野古・高江の運動をけん引してきた山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)だ。山城さんは10月17日に高江のN1ゲート近くで、沖縄防衛局が設置した鉄線を切断したとして逮捕された。その後、傷害や公務執行妨害、威力業務妨害と再逮捕がくり返され、すでに1カ月半以上の長期勾留が続いている。
11月29日の逮捕も山城さんの勾留を継続し、高江・辺野古の抗議行動の現場から引き離すためであることは言うまでもない。平和運動のリーダーをここまで徹底して抑圧し、その社会的生命さえ奪おうとするような弾圧は、沖縄でもかつてなかったものだ。米軍統治下よりもひどい、という批判も出ている。安倍政権のもとで、公安・警備警察が戦前の特高警察を思わせるものに変わりつつあることを実感させる。
逮捕の狙いの第一が、現場の運動を萎縮させることにあるのは明白だから、これまでと変わらずに抗議行動を続けるため、多くの人がひるむことなく高江にやってきている。森の中での行動も、N1、H、Gの各地区のヘリパッド建設現場に加えて、宇嘉川の河口という地形の険しい場所でもとりくまれてきた。
抗議行動の現場から中心になってきたメンバーを奪い取られることが、大きな痛手であることは間違いない。現場の状況を理解、分析して即座に行動指針を出すには経験が必要だ。リーダーは一朝一夕では育たない。
一方で、リーダーを奪われたからすぐに縮小するような運動であってはならない。抗議行動に参加している一人ひとりが、自分自身の意識と能力を高めることが問われている。何よりも現場での判断力と行動力を磨かなければならない。特に森の中や県道での抗議行動では、一瞬の判断ミスが警察権力に付け入るスキを与える。
安倍政権がヘリパッドの年内完成を急ぐ今、現場はさらに厳しい状況を迎える。一人でも多くの人が高江に駆けつけてほしい。
目取真俊